高次脳機能障害とは
事故や病気などで脳に損傷を受けた後に、記憶力や注意力の低下などの症状が現れ、日常生活や社会生活に支障が出る障害です。
(生まれつきの場合「発達障害」、進行性の場合「認知症」といわれるようです)
高次脳機能障害の主な症状として、以下の症状があるといわれています。
脳卒中、脳炎、脳症、脳腫瘍などの病気以外にも、交通事故、転倒、転落、虐待、スポーツ等でも脳を損傷する可能性があります。脳に損傷を受けた後、急に以下の症状に悩まされている方は医療機関への受診をお勧めいたします。
■記憶障害
・物の置き場所を忘れる
・新しいできごとを覚えられない
・実際の出来事とは異なることを話す
・同じことを繰り返し質問する、話す
■注意障害
・集中できない
・落ち着かない
・ふたつのことを同時に行うと混乱する
・ミスが多く効率が上がらない
■遂行機能障害
・作業時に何から手をつけていいかわからない
・急な予定変更があるとパニックになる
・効率が悪いと人から指摘される
・約束の時間に間に合わない
■社会的行動障害(依存性・退行、感情コントロール低下(感情失禁)、欲求コントロール低下、対人技能拙劣、固執性、意欲・発動性の低下、反社会的行動)
<依存性・退行>
・子どもっぽくなったり、すぐに家族を頼るようになる
<感情コントロール低下>
(感情失禁)
・不適切な行動とわかっていながら感情を爆発してしまう
・「怒り」や「笑い」の感情のコントロールが難しい
<欲求コントロール低下>
・金銭管理ができない
・あればあるだけ食べてしまう
・お酒やたばこ、コーヒーなどを大量に消費する
<対人技能拙劣>
・相手の立場や気持ちを思いやることができない
・話にまとまりがなく、すぐに脱線する
・その場に不適切な多弁であったり、雰囲気にそぐわない会話をする
・皮肉や抽象的な指示がわからない
<固執性>
・どうでもいいささいなことにこだわる
・同じことを何度も言ったり、やったりする
<意欲・発動性の低下>
・いつもボーっとしており、促してもやろうとしない
・運動障害がないのに、一日中ベッドから離れない
■神経疲労(易疲労性)
・わずかな時間の軽作業で強い疲労感がある
・夕方頃には起きていられない、イライラしている
■失語症
・なかなか言葉が出ない
・言い間違いをする
・読み書きができない
■失算症
・簡単な計算ができない
・時計が読めない
■失行症(観念失行、観念運動失行、肢節運動失行)
・ 歯ブラシを理解していても「使ってみてください」というと耳に入れようとしたりする
・「さようならと手を振ってください」と言われても実行できない
・運動麻痺や感覚障害がないにも関わらず、ボタンを上手にかけられなくなる
■失顔症(相貌失認)
・親しい人や有名人の顔を見分けられない
・自分の顔を鏡で見ても自分だと気づかない
・男女の区別、表情がわからない
■失認症(視覚失認、手指失認、左右失認)
・見えているのに、そのものが何であるか分からない
・「親指を出してください」と言われても理解できない
・「右手を挙げてください」と言われても理解できない
■聴覚失認
・聞こえているのに、何の音か分からない
・聞こえているのに、何を言っているか分からない
■半側空間無視
・左(右)側にあるものを見落とす
・左(右)側にぶつかって歩く
■地誌的見当障害
・自宅の見取り図や近所の地図が書けない
・よく知っているはずの道で迷子になる
・お店でトイレに行くと元の席がわからなくなる
■病識欠落
・事故や病気の前のように何でもできると思う
・問題の原因は自分ではなく、他にあると思う
・周りが間違いを指摘しても認めようとしない
・周囲がリハビリを勧めても不要だと言う
感情失禁(動画)
高次脳~相貌失認~記憶障害(動画)
高次脳機能障害とは
記憶障害
※当HPに掲載している画像は、作者の許可を得て使用しています
迷子
目白大学 保健医療学部 言語聴覚学科 教授
春原 則子 先生
言語聴覚士の資格を持つ春原先生のPT・OT・ST等臨床に携わる方向けの動画です。
目白大学 保健医療学部 言語聴覚学科 教授
春原 則子 先生
言語聴覚士の資格を持つ春原先生のPT・OT・ST等臨床に携わる方向けの動画です。