この度は「春日部 笑おう会」のホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
私は、埼玉県春日部市在住の高次脳機能障害当事者です。私の経歴と、何故「春日部笑おう会」を作ろうと思ったのかをお話ししたいと思います。
私は2006年11月に高熱を出したことが原因で脳炎になり、脳を損傷し、てんかんと高次脳機能障害を持つようになりました。脳炎になった直後は、妻(前妻)や子供たちの顔を見ても誰だかわからないし、自分の仕事が何か、どこに住んでいるのか、過去の記憶等、全てがわかりませんでした。医師からてんかんと記憶障害が残ると言われましたが、退院後は受傷前の生活を取り戻さないと全てを失ってしまう恐怖と必死で戦いながら毎日を過ごしていました。
「人の顔が覚えられない」
「パスワードが覚えられない」
「道が覚えられない」
等があっても、全て てんかん のせいと思っていました。
自分ではてんかんと記憶障害だけと思っていましたが、怒りの感情を抑えられず怒鳴り散らしては反省・後悔することも多く、親、姉、妻(前妻)、子供たちから「前はこんな人じゃなかった」としきりに言われ、気付いたら親しかった友人たちも居なくなっていました。
職場では腫れ物扱いで、転職したら上司とうまく馴染めず、パワハラを受けることもありました。苦しく、孤独な日々でしたが、” 弱音を吐いたり、誰かに相談してしまったら、今の仕事や生活が無くなってしまう "と思い込んでいたので、主治医にさえも言えず、お酒に逃げ、アルコール依存症にもなりました。てんかん・高次脳機能障害・適応障害・鬱・アルコール依存症・借金・前の自分に戻らないと家族を支えさられない重圧・誰にも相談できない孤独が重なり、今の妻に会うまでは消えてしまいたいと思う毎日でした。
今の妻に出会い相談できるようにはなりましたが、障害受容に苦しみ、障害者雇用を数社試したけどうまくいかず、社会との繋がりもなくなり、別の孤独に苛まれていたところ癌になっていることが分かりました。まさか自分が・・・と、とてもショックを受けました。同時に、いつ死ぬのかわからないものであると、命の有限を強く感じ「やれることは今やらないと!」と思い立ちました。
自分は何がしたいのか・・・何をできるのか考え、同じ障害で悩まれている方と繋がることで、私が今まで経験してきた苦しみを少しでも共有することで誰かの苦しみを和らげられたら…、孤独感を取り除けられたら…一人でも笑顔に出来たら…という思いで2023年11月1日に「春日部 笑おう会」を発足いたしました。
高次脳機能障害は社会認知がまだまだ少なく、見た目にわからないため理解されにくく、生きづらさがある障害です。私自身、病院や医師から高次脳機能障害の診断がなかったため、気付くこともできず、行政支援を受けることもできずにいました。また診断後の障害者雇用でも障害を理解してもらえず、職場で差別をうけ孤立する事もあり、二次障害として鬱や適応障害にもなりました。
現在、自助会の活動とは別に、県や市に対して、高次脳機能障害の認知を広め、支援の輪を広げる活動も行っています。高次脳機能障害を知る人が増えれば、適切な診断・配慮ができ、高次脳機能障害を持った後でも仕事や生活をしやすい社会になるのではないでしょうか。
これから先の未来で高次脳機能障害者への適切な支援ができる社会作りを目標としています。市民が困っているという声を上げることが社会作りの原点なので、会にご参加いただくことが大変力になります。是非、皆様のお力を私にお貸しいただければ幸いです。
最後に、会の発足にあたたかい言葉や助言、活動のサポートをいただきました下記機関の皆様に心から感謝申し上げます。
・春日部あゆみの会
・高次脳機能障害さいたま これからの道
・自助団体の皆様
・𝕏で仲良くしてくれている皆様
主人と出会った当初、主人は「脳炎の後遺症でてんかんがある」と言っていました。
一緒に生活をしていく中【てんかんってこんな症状ある???】【何かおかしい・・・】と思うことが度々ありました。性格とか個性とか、そんな言葉では収まらない違和感でした。
正直、このままでは生活もうまくいかないと感じていましたし、精神的にも限界がきていました。それでも”別れてしまったらこの人は生きていけるのだろうか・・・”と思うと別れる選択肢は選べません。どうにか解決策を・・・と縋る思いで毎日毎日思い当たる症状をネットで検索していました。
似ている症状を持つご家族のブログ等を見たりして調べていくうちに、主人は高次脳機能障害であると確信しました。
当時かかっていたてんかんの主治医に相談しましたが、「これは脳炎の後遺症です」「こういうものです」というだけでした。仕方がないので自分で診断ができる病院を見つけ、主治医にお願いをして紹介状を書いていただきました。受傷後13年(私と出会って4年)経過していました。
高次脳機能障害はお医者様の中でもあまり知られていないようなので、お医者様に何も言われていなくても、脳炎、脳卒中、交通事故等、頭部受傷後に違和感(怒りっぽくなった、ボーっとしていることが多い、どんなに気を付けても仕事上のミスが多い等)を感じるようになったのなら本人を責めるのではなく、とことん調べることをお勧めします。高次脳機能障害でなくとも、変化・違和感には必ず原因があると思います。
ちなみに、私の目から見て、主人には、記憶障害、注意障害、社会的行動障害(依存性・退行、感情コントロール低下、欲求コントロール低下、対人技能拙劣、固執性)、神経疲労、地誌的見当障害、病識欠落 があると思います。(性格変化もあるようですが、受傷前の性格を知らないのでわかりません)
高次脳機能障害をもつ本人も、支えるご家族も本当に大変だと思いますが、情報交換し、楽しい時間を過ごせる場になれば幸いです。